以前、子宮筋腫と子宮癌の間の、いわゆるグレーゾーンと言われた人が、抗がん剤投与後の吐き気を止めたいと言って治療に来た。この人の筋腫は、私が治療中に見つけた。すぐに、アメリカで末期癌の患者の放射線療法をやっていた医師が居る病院を紹介した。最初の一言は、
あんたも物持ちいい人だねぇ・・・・
だったという。医師も呆れたのであろう。それからすぐに手術したのだが、生研の結果がグレーだったのだ。念のため、抗がん剤を3本打つことになったという。
1本目から、かなりひどい吐き気がしたらしいが、事業を立ち上げたばかりだったので、休めないという。髪の毛も抜けていたが、毛糸の帽子をかぶっていた。
吐き気を止めてほしい。
という。それで、12胸椎の両側にあるツボに5センチほど刺した。案の定、ゴリゴリ状態だった。この凝りをほぐした後、足の三里(さんり)というツボに針をした。このツボを使うコツは、縦にビッと刺激を走らせることである。この刺激は強烈に効く。
感染性胃腸炎で元気が無く、ついでに口唇ヘルペスまで出来ていた人の食欲不振も、その日のうちに回復し、数日後に治療に来たときは、口唇ヘルペスも治っていた。これは、胃の経絡に深く関係している。口角には、地倉(ちそう)というツボがあって、このあたりにできたヘルペスは、足三里の鍼が良く効くのである。ただし、縦に走る刺激がないとダメ。
ツボの効果というのは実に不思議である。皮膚のかぶれを治すのに、太淵(たいえん)という手首近くのツボに灸を据えることがある。皮膚の病には、この灸が良く効く。皮膚は、肺の気が支配するからである。
抗がん剤の吐き気は、この人に関しては、この2カ所の針で消えたのである。抗がん剤の治療が終わって吐き気の心配が無くなるまで、毎日治療に来た。
そうして、三度の食事をしながら、仕事をやり続けたのである。
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