2010年3月17日水曜日

情報化社会と医療統合

 鍼灸師・指圧師・整体師・あんま・マッサージ師の社会的地位は至って低い。ついでに収入も低い。昨今では、高齢者が先行きの生活に不安を覚えるようになって、治療院に足を運ぶことが少なくなったから、さらに収入が減っている。

 さいわい、私は主に働き盛りの人の急な痛みの治療を得意にしているし、10年も前からホームページを作っているので、中年層と新規の顧客に恵まれている。ただし、高齢者だけを見ると、半減している。これは、80歳を過ぎた人が主にデイケアに行く機会が増えたことにも原因がある。デイケアの場合は、送迎の車が来てくれるが、治療院だと、自分で来るか、家族に送迎を頼まねばならない。これは、お年寄りにとっては,気の重いことなのだ。だからついつい遠慮してしまう。

 高齢者が主な客層であった治療院は全国的に見ても、冷え込んでいるはずだ。そういう事情もあって、この業界は不景気業種のひとつに数えられているらしい。

 しかし、技量の差はあるにしても、やっている仕事というのは、病院の外来では治らなかった人たちの治療がかなりの割合を占めている。そして実際、かなり長期間患っていた症状であっても、時には完治するし、少なくとも軽快はするのである。が、その仕事の質に比べれば、この業種の人たちの社会的地位というものは低い。

 100年以上も前のことになるが、明治政府が、西洋医学と漢方医学のいずれを国の基幹医療とするかという問題を議論したことがある。僅差(4対6くらいの割合)で、西洋医学派が勝った。その僅差が、今日の大きな社会的地位の相違となって現れている。

 いずれを是とするかの二者択一ではなくて、両方を併存させれば良かったのである。この点、中国の方が、医療に関しては、世界をリードしていくようになる可能性が高い。

 実際、漢方薬は効くし、針や灸も効くのである。その他の代替療法も取り入れやすい。少なくとも日本ほど閉鎖的ではないだろう。

 統合医療というものについて考えると、政府は言っているが、果たしてどうなるだろうか? 私はあまり期待してはいないが、悲観的でもない。というのは、情報化社会に於ては、政策などとは関係なしに、自分で情報を仕入れて、自分で医療を統合できるからである。

 情報化社会においては、医療の統合は、各人が自分でやれるし、その情報を集めて、データベースを作ることも出来る。私はすでにそうしている。

 未来の医療は、政策によって統合されるのではなく、「情報」によって統合されていくだろう。特別なことは何もしなくても、自ずとそういう時代がやってくるはずである。ただし、その情報が信頼の置けるものになるようなシステムの構築は必要だろう。それは、力を入れて研究しなければならない。

 特許切れの薬が新薬として発売されるような国の医療機関、医療制度は、情報の力の前には、はなはだ弱いだろうと思うが、情報化という手段を巧みに取り入れれば、様相は変わるだろう。

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