2010年5月9日日曜日
三陰交の不思議
鍼灸師のひとりごとをご覧ください。
三陰交というツボがある。足のうちくるぶしの少し上の所にある。
このツボは、婦人三里とも言われていて、名穴のひとつである。
ここに、患者を仰向けに寝かせておいて、ほんの1ミリくらいの鍼を打つ。
これだけで交感神経の緊張が緩和されるのだ。実に不思議な効果である。
この鍼をしたあと、「目をつぶって、10分くらい、ぼうっとしていてください」と言っておくと、ほとんどの人は眠ってしまう。
緊張感が身体から抜けて、実によい気持ちになるのだ。
この効果は、私自身も体験しているのでよく知っている。
生理痛や生理不順にも効くが、妊娠初期にここに深い鍼をすると流産する怖れがあると言われている。
それで、生理が遅れていると言われた場合には、妊娠の可能性がないかどうかを必ず確認する必要がある。
治療が早く終わったときには、この処置をして、眠ってもらう。
実によいサービスになる。
2010年4月30日金曜日
トリガーポイント針治療
若い治療家には、経絡治療は難しすぎるし、習得に時間がかかりすぎる。またこの治療法は、効果の現れ方が、まばらである。良く効くこともあれば、効かないこともある。それは技術の問題かもしれないが、誰もがうまくなれる治療法ではない。
その点、トリガーポイント針治療は、習得が容易で、誰でも一定の効果を現せるというメリットがある。ただし、正確な触診技術がないと、よい効果は出ないだろう。
低コストで、効果的なこの治療法は、今後、爆発的に普及する可能性を秘めている。ことに、腰痛などの痛みに関しては、絶大な効果を現す。そして、外科手術のようなリスクを伴わず、身体のあらゆる部位に適用できるというメリットがある。
2010年4月27日火曜日
日本人は死んだ・・・
明治維新で死に、日清戦争で死に、日ロ戦争で死に、満州事変で死に、太平洋戦争で死に、B29の絨毯爆撃で死に、2発の原爆で死んだ・・・
軍需工場の社長だった人が、
働きよった者は、みな、警官やら公務員やら、兵役逃れが目的の奴らばかりやった・・・
と言っていた。この社長も、ずいぶん前に亡くなった。
太宰治が檀一雄に、「君は生き残るものの味方なのか?」と言ったことがある。
ある大学教授が、
学者というのは、死んだ人の遺したものを飯のタネにしているようなものでしてね・・・
と言ったことを憶えている。こういう正直な人は、良い仕事をしている。偉そうに権威ぶっている人に限って、業績を調べると、ろくな研究をしていないことが多い。そういう人が好きなのは、学問ではなく、権威なのだ。
日本人は死んだと思う。
私も20年すれば78歳になる。25年生きれば83歳。おおよそそれくらいでこの世とお別れするだろうと思う。
それは、私にとって、密やかな楽しみである。
それまでの人生は、生まれた以上のお務めである。尊敬してやまないS先生の最後のお手紙を胸に抱いて死んでいきたいと思っている。
2010年4月24日土曜日
むち打ち症は針で治る
しかし、現実問題としては、数年とか、10年とか、あるいは、それ以上、不快症状に悩まされていると言う人が全国に多数いる。数百万人には達するだろう。
これも、レントゲン診断の盲点がもたらすものである。これによる経済損失は、被害者・その家族・その人の職場・加害者・保険会社などを合わせると、とんでもない金額になる。
医療費の増大を問題にする前に、それを解決する治療技術を作ることである。
2010年4月23日金曜日
歯茎が腫れていたむ人
今日来た人は、以前、歯茎が腫れて痛むと言っていた。歯医者には行ったが、痛み止めをくれただけだったという。葉に異常がないのだから、歯医者さんも、ほかに打つ手がない。
この人には、首と肩の凝りを取る治療をしておいた。
それから、3週間くらいして、腰痛と肩こりで治療に来たのだが、歯茎の痛みと腫れは、その日のうちに、あれよあれよという間に消えていったという。
まぶたの腫れであれ、歯茎の腫れと痛みであれ、あるいは、首から上の毛細血管の拡張とそれに起因する頭痛にせよ、原因は同じであるから、治療法も同じである。それで効果は十分に現れる。
もし、治療後にいまひとつ後押しがほしいと思ったときは、近くのドラッグストアにいって、葛根湯と軽い痛み止めともらうように伝えておく。鍼灸師は薬に関しては何も言えないが、薬屋に行ってもらえば問題ない。
それも、一番安いものでいいと念を押しておく。ブランドにカネを払う必要はない。血流を促進し、炎症を抑える。消炎剤は、1回で十分に効く。葛根湯は、2日くらい飲んだらいい。
こういう症状で、針治療+葛根湯+消炎剤で、治らなかったという人に出会ったことはない。もし、居たら、すぐに病院で検査してもらうようにアドバイスするだろう。
そのときは、パラメディカルの領域を越えた本物の病気である怖れがあるからだ。
以前、全身性エリテマトーデスと診断された人が来た。針で何とかならないかと言う。「それは無理です」と答えた。統合失調症だと診断された家族の治療が出来ないかと言われたこともある。その人には、ある精神科医を紹介した。
パラメディカルの仕事は、本物の病気と病気ではない病気を振り分け、後者が病気になる前に治してしまうことにある。
それにしても、ひとつの原因がもたらす多様な症状に、なんと多くの病名がつき、なんと多くの専門科の医師が居ることだろう。
そういうものは、末梢循環不全症候群として一括して治療すればよいのである。針は、極めて有益な治療法である。この治療を再評価すべきである。
そうしないと、医療まで、中国に後れを取ることになる。
2010年4月22日木曜日
肘の手術から20年・・・
20年の間に、左上半身がひどく凝り固まってしまったのである。そのため、脊柱が右に押されて少し湾曲していた。湾曲は、軽度のものなら針できれいに治るが、軽度のものならば、湾曲の治療そのものは目的としない。脊柱両側の凝りを取ったことの結果として、湾曲が治るのである。
その右肘の治療は20分で終わった。手の曲げ伸ばし、指の動きともに、大幅に改善した。左半身の凝りは、この右手の不自由さに原因があったのだ。
左半身の凝りは、40分でほぼ取れた。完全に取れるわけはないのだが、大幅に身体が楽になったのである。これに加えて、原因となっている右手の治療をしたのである。この治療を、疲労を感じるたびにやっていると、身体は、だんだん、もとに戻っていく。治療をするとしないとでは、老後の生活に与える影響が、断然違うと思う。
それにしても、いつも思うのだが、20年という歳月は長すぎる。その間、治療できる人に出会わなかったのである。私が子供の頃は、いまなら名人と言われるような人が、あちこちに、普通にいた。子供の頃、膝を治してくれたK先生は、非常に腕の立つ人だったが、他にも上手な人はいたと思う。
そういう人が、技術を残すことなく世を去ってしまったのだ。徒弟制度が社会から無くなってしまったからだろうと思う。
職人の世界では、丁稚奉公の修業時代が必要である。最初から給料を出せと言われては、雇うに雇えない。いずれは、やめて独立開業するのだ。それでは、金を払って商売敵を作ることにしかならない。そんなバカなことをする人はいない。
20代の頃患った、私のひどい関節炎を治してくれた人は、名もない貧しい鍼師だった。しかし、どこに行っても治らなかった関節炎を、たった七回の治療で治してくれたのだ。私の治療の基本は、この先生の技術である。こうやって治すのか・・・・と感激したのだ。そういうものは、頭に染みついてしまう。
20年間、肘が悪かった人に行った治療は、この先生の治療法の応用である。このひとは、凝りを取ることに徹していた。だから、私も凝りを取ることに徹している。
それが、20年、誰も治せなかった肘のこわばりや、身体のゆがみを治すことになるのである。
2010年4月20日火曜日
ツボの不思議(その2)
バリュームを飲んで透視をしながら、足の三里に針をすると、胃がギュッと動くことは実験で確かめられている。胃酸が多く出ることも実験で確かめられている。したがって、胃酸過多の人に、足の三里のツボを使うのは良くないと言われている。
高血圧の人の百会(ひゃくえ。頭の頂点にあるツボ)に灸を据えると眼底出血を起こすことがある。これは、いまでは、あまり知られていない。
妊娠初期の女性の三陰交(さんいんこう。婦人三里とも言われる名穴)に針をすると流産する恐れがある。これは、鍼灸師ならたぶん知っているはずである。この作用を利用して、堕胎をなりわいとしていたアングラ鍼灸師が昔は居たらしいが、いまは、居ない。
太陽という目のツボ(こめかみの近く)に針をすると、結膜の血管が切れることがある。
足三里のツボで、胃の働きを良くすることは、八割以上の確率で出来るが、マイナスの効果に出会うことは、10年に一度くらいである。
ただし、マイナスの効果がほぼ確実に起きるというツボもある。こういうツボは、禁止穴(きんしけつ)といわれていて、使ってはならないとされている。
ここで書いたことは、ツボの効果のごくごく一部でしかない。人体は、恐ろしく奥深いのである。
西洋医学では、こういう現象は人体には起きないとされている。もっとも、本家の欧米では、積極的に研究している。彼らは、みずからの限界に気づいているからである。漢方の本家である中国でも、当然ながら積極的に研究している。日本はどうなのだろう?
医療に関して、世界から立ち後れはしないだろうか??
2010年4月19日月曜日
消せる耳鳴りと消えない耳鳴り
どうして、そういうことが起きるかというと、これも異常に硬くなった筋肉の仕業で、耳の近くの動脈周辺の筋肉が硬くなることによって、その動脈の脈動が、振動として鼓膜に伝わってしまうのだ。
音としては、太鼓のような音とか、ドンドンとドアを叩くような音とか、あるいは、洗濯機が回るような音(これは血流音を聴いている)とかであるが、心臓の鼓動に合わせたリズムで鳴る低音の耳鳴りであるのが特徴である。
これは、第一、第二頸椎周辺の凝りを取ること、ことに、乳様突起(ツボでいうと完骨)の周辺に出来た頑固な凝りを取ることでほとんど消すことが出来る。
最近、病院で半年治療をしたが治らなかったという人が治療に来ているが、六回目の治療の時に、ほぼ音は消えていた。ドーン・ドーンという音が、夜になるとどうしようもなく大きくなって眠れないので、眠剤を飲んで寝ているといっていたが、いまでは、ほとんど音は消えている。ただし、定期的な治療は必要だと思う。たぶん、月に二回程度。
消しづらい耳鳴りは、蝉が鳴くような音、キーンというジェット機のような音である。ことに、中耳炎の後遺症の場合は、難しい。
この場合でも、症状の改善は望める。それだけでもずいぶん楽になる。ただ、完全に消える例は非常に少ない。
耳鳴りは、耳鼻科でステロイドの点滴をしても治りはしない。原因が、炎症にあるのではないからである。
2010年4月18日日曜日
肥大した自尊心
ところが、世の中おもしろいもので、原稿を盗まれた人よりも、盗んだ人の方が、出世したのである。この人はいまやとある有名大学の名誉教授になっている。もうひとりの、他人の原稿を盗んだ人は、
あの原稿は、私の名前で出版するに値するものだったから、私の名前で出した。
と言っていたらしい。
この言葉に典型的に表れているが、ここには肥大した自尊心がある。それも中身のない自尊心である。要するに、たんなるエゴである。
東京の、ある料亭の女将が、若いサラリーマンの予約を「あいにく、今日は満席です」と言ってことわった。するとそのサラリーマンは、
ボクをどこの会社の社員だと思って居るんですか? ソニーですよ! ソニーですよ!
と言って、断られたことに腹を立てたという。ソニーの社員だからどうだというのだろう? それ以来、このお店では、この人をソニー君と呼ぶようになったという。
こんなことは、笑い話にしかならない。しかし、こんな笑い話をする人は、後を断たない。モラルハザードをおこしているのは、増長した自尊心かもしれない。
毛根の脂を取るのかいかがなものか?
そうすると、ほとんどは、「毎日」という答えが返ってくる。中には、「朝夕」と言う人もいる。
髪を洗うと、産毛(うぶげ)が抜ける。これは、髪の赤ちゃんだから、そっと洗わないといけないし、扱い方は、生まれたての赤ちゃんの髪と同じである。生まれたての赤ちゃんの髪を毎日シャンプーで洗うだろうか?
逆に、世界一髪の長いインディアンとか、インド人とか(本当にどちらが世界一かわからないが)は、髪は滅多に洗えない。インディアンの場合は、1ヶ月に一度、大人数で洗うのだそうだが、インドの人は、紹介した番組のアナウンサーが、
もう何年も髪を洗っていないので、猛烈なにおいがするそうです。
と言っていた。毛根に付着した脂質によって脱毛するならば、この人達の髪はとっくの昔に抜け落ちていたはずである。
ずいぶん前、「朝シャン」というのがはやった時期がある。これもテレビが広めたものである。この「朝シャン」をやっている人は、ほとんど例外なく、毛が薄い。当時、皮膚科に、シャンプーのしすぎが原因で、ひどい脱毛を起こした人がずいぶん診察に来たらしい。こういうひどい状態になった人の多くは、シャンプーの香りを残したいために、すすぎを十分にしなかった人である。
シャンプーには、防腐剤が入っている。ボディーソープにも入っている。シャンプーもボディーソープも、それそのものが、化学物質である。頭皮によいはずがない。ましてや、産毛に良いはずがない。
私は、必要以上に髪を洗わない。だいたい3日か4日に一度しか洗わない。
その習慣のおかげだと思うのだが、五十八歳になったいまも白髪はほとんど無く、髪の毛の量は若いときとあまり変わらない。髪型のせいで、生え際が少し後退したくらいである。
不潔はよろしくない。これは当然である。しかし、過度の清潔志向もよろしくない。「過ぎたるは及ばざるがごとし」である。
現代の日本人は、病院依存と清潔中毒という、ちょっと病的な状態にあると思う。戦後の日本の社会そのものがそういう方向性をもって発達してきたのであるが、もう、そろそろ方向を修正したほうが良いように思う。
ついでに書いておくけど、歯磨きは、大豆粒ひとつくらいの大きさを歯ブラシに付ければよい。テレビの宣伝のように、ブラシの端から端まで付ける必要はない.。
宣伝は教育ではない。売り上げに貢献すればよいのである。
だから、真に受けてはいけないのだ。
2010年4月17日土曜日
ツボの不思議
あんたも物持ちいい人だねぇ・・・・
だったという。医師も呆れたのであろう。それからすぐに手術したのだが、生研の結果がグレーだったのだ。念のため、抗がん剤を3本打つことになったという。
1本目から、かなりひどい吐き気がしたらしいが、事業を立ち上げたばかりだったので、休めないという。髪の毛も抜けていたが、毛糸の帽子をかぶっていた。
吐き気を止めてほしい。
という。それで、12胸椎の両側にあるツボに5センチほど刺した。案の定、ゴリゴリ状態だった。この凝りをほぐした後、足の三里(さんり)というツボに針をした。このツボを使うコツは、縦にビッと刺激を走らせることである。この刺激は強烈に効く。
感染性胃腸炎で元気が無く、ついでに口唇ヘルペスまで出来ていた人の食欲不振も、その日のうちに回復し、数日後に治療に来たときは、口唇ヘルペスも治っていた。これは、胃の経絡に深く関係している。口角には、地倉(ちそう)というツボがあって、このあたりにできたヘルペスは、足三里の鍼が良く効くのである。ただし、縦に走る刺激がないとダメ。
ツボの効果というのは実に不思議である。皮膚のかぶれを治すのに、太淵(たいえん)という手首近くのツボに灸を据えることがある。皮膚の病には、この灸が良く効く。皮膚は、肺の気が支配するからである。
抗がん剤の吐き気は、この人に関しては、この2カ所の針で消えたのである。抗がん剤の治療が終わって吐き気の心配が無くなるまで、毎日治療に来た。
そうして、三度の食事をしながら、仕事をやり続けたのである。
2010年4月13日火曜日
悲しきモラルハザード
ずいぶん前、大分合同新聞社が「三浦梅園の総合的研究」という企画を100回連載で、行ったことがある。私には、『多賀墨卿君にこたふる書』の解説が回ってきた。この記事の中で、
『多賀墨卿君にこたふる書』(以下『多賀書』)
と、はじめの部分に書いた。字数が制限されているので、長い名前を何度も使うことが出来なかったからである。
それからしばらくして、2、3人の先生方の論文に、『多賀書』と書かれているものを見た。これには、笑った。いや、呆れた。三浦梅園が多賀墨卿に宛てた書簡は、三通ある。
1.多賀墨卿君にこたふる書
2.再答多賀墨卿
3.三答多賀墨卿
何のことわりも無しに、『多賀書』と書いてはいけない。そんな名前の執筆物は、無いのである。それを平気でやる教授達もいることは居る。こんなのは、まだマシな方で、他人が書いた本を自分の名前で出した人を三人知っている。ひとりは、原稿を書き上げた後亡くなった人のその原稿を、自分の名前で出版したのである。
学生は、ひよこみたいなものだから、分かりはしない。
学校の先生というのは、知識の落差で飯を食っている。三〇歳くらいまで勉強すれば、大学でも一生飯を食っていける。それにあぐらをかいている人は、勉強しない。
以前、文献学の専門家と話をしていたとき、著書も論文も何もない大学教授が、私立大学にはたくさん居るよ、と言われて驚いた。大学教授が粗製濫造された時代があったのだ。この人達は、もともとは高校の教諭だった人たちである。
遅刻してきた上に、窓から入ってくる学生が居ると言うことにも驚いた。授業中、話を聞かずにずっと化粧をしている女子学生が、自分が担当しているクラスに数人いる、という話を聞いて驚いた。学年末になると、
センセー、可をくれるんなら一晩おつきあいしてあげる。
という女子学生が、毎年2、3人いるという話もしてくれた。笑える話ではない。俺も男だからねぇ、困るよ、と真顔で言っていたが、いつも同じ返事をするという。
よしよし、先生のお嫁さんになってくれたら可をあげる。入籍してからね。
私のお客さんに、心臓に小さな穴が空いている人がいた。心臓にまでカテーテルを通して、電気でそれをふさいだのだそうだが、運悪く、また、穴が空いてしまった。
その人が、再手術は絶対にしないという。その理由は、研修に来ていた学生のニヤけたおしゃべりが許せないのだという。
ずいぶん、苦しい手術だったらしい。そのそばでぺペチャクチャおしゃべりをされたのが許せないという。
別のお客さんは、父親があと数日の命だと言われたとき、当直の医師と看護師がぺちゃくちゃ話をしているのが許せなかったという。
少し静かにしていてくれませんか・・・・
と言ったら、
大丈夫ですよ。僕たちは馴れていますから。
と若手の医師が答えたという。おいおい、葬儀社の人は、葬式には馴れているはずだが、葬儀の間は静かにしているだろう。おしゃべりはしないだろう。
要するに、そういう学生は、そういう医者になる。そういう医者を作ったのは指導者の責任である。
分野を問わず、社会のモラルが、崩壊しているのである。
私の父親は、昭和55年に脳梗塞で倒れて、別府市の救急病院に運ばれたのだが、驚いたことに、当直の老医師は、寝たまま起きてこなかったのである。父が仰向けのまま嘔吐して、それを吸い込んでしまったときに、
抗生物質の注射を打ちに、一度だけ起きてきた。それっきりまた眠ってしまって、看護師が呼びに行っても起きてこなかった。責任放棄も、ここまでくると犯罪である。
それから40年たつが、まれに、お客さんが似たような話をすることがある。
以前、経済産業省の査察官の治療をしたことがある。その人は、
世の中で悪徳医ほどどうしようもないものない。
と言っていた。そういえば、賭けゴルフで、金の代わりにバイアグラを賭けた医師がいる。
こういうモラルの崩壊について書き出すときりがないのが、いまの日本の現状である。
2010年4月12日月曜日
芸術祭参加作品のような見事な手術
1. 症状をきれいに消している。
2. 後遺症を残していない。
3. 縫合の後が、女性の顔の傷を縫ったあとのように美しい。
外科手術に、これ以上何も望めないと思う。
ただし、ギネスブック級というのもある。骨盤骨折の手術をした後、どうも具合が悪いというので治療に来た人がいた。その人は、要するに術後の筋力の回復過程で凝りを生じたのである。
驚いたのは、縫った後がまったくなかったことである。要するに、外科医が骨接ぎの仕事をしたのである。ハンモックに半年間寝ていたという。だから手術ではないのかもしれない。
これには、ほとほと感心した。こんな医師がいるんだ、ということに感動もした.
この先生は、医学史、ことに解剖学の歴史に関する大変な研究をしていて、立派な著書もある。月並みの大学教授では、学識が及ばないだろうと思う。大学教授と言ってもエスカレーター式に出世しただけの人は、不勉強がすぐにバレる。
実際、中津である学会が開催されたとき、出席していた大学教授よりもこの先生の方が医学史に詳しかった。これには、笑ってしまった。
この先生は、大分の中津(なかつ)に住んでいる。中津は伝統的に外科のレベルが高い。蘭学が盛んな土地であったことが影響しているのだ。和蘭辞書の「中津辞書」は、有名である。これは、明治維新の前に、中津藩主の奥平昌高(おくだいら まさたか)がみずから作ったのである。
だから、伝統がある。伝統は人に力を与える。こういう偉い藩主は、世紀を超えて土地に影響を与える。
私が住んでいる大分市(府内藩)は、どうだったか?
う~ん。・・・・ 府内の伝統??? 日本で最初の西洋医学の発祥の地であるにしては、なんだか寂しい。医師アルメイダの名を冠した「アルメイダ病院」があるが・・・・
府内藩医だった多賀墨卿(たが ぼっけい)は、三浦梅園の『多賀墨卿君にこたふる書』で、名前だけは知られている。
中津のある医師が、大分市はチャラチャラしていてイヤだ、とメールに書いていたことがある。
そういわれると、反論が出来なかった。前知事(平松知事)の時代のことである。たしかに、チャラチャラしていた。そのときの負債に、いまの大分県は苦しんでいる。
土地柄、あるいは、その地域の伝統は、世紀単位で影響を与え続ける。
大分には長く住んでいるが、スケールの大きな人物に会ったことは、まだ一度もない。B29が、市内一面を焼け野原にしたことが影響しているのであろうか?
私の祖父は、この爆撃で死んでしまった。写真も何も残っていない。
2010年4月10日土曜日
ガングリオンの治し方その他。
良性なので、放置しておいても良いが、大きくなって神経を圧迫すると痛むし、関節の動きを邪魔することもある。
これは、小さいうちなら針で簡単に治せる。治し方は以下の通り。
1.ガングリオンが出来た関節よりひとつ上の関節の周囲の凝りを取る。
2.ガングリオンに四方から針を打つ。ガングリオンを●とすれば、
↓
→●←
↑
のように打つ。要するに、ボールに穴を空けるのである。中心に届かせる必要はない。
3.頂点にも針を刺す。穴は全部で5個。ガングリオンが大きければ、さらにたくさん刺しても構わない。
4.お風呂に入るたびに、コロコロと転がすようにマッサージしてもらう。毎日、1分程度でよい。
これだけでよい。入浴時のマッサージだけで消えそうに無ければ、また治療に来てもらう。
この方法で、消していると、そこにはガングリオンが出来なくなる。それが注射で吸い出すやり方と違うところである。
膝の関節に貯まった水を引かせるのも同じような方法でやる。何度かやっているうちに、水そのものが貯まらなくなる。
スポーツで痛めた膝から、すぐに水を抜かねばならないなら、注射で吸い出せばよい。しかし、生活疲労や仕事の疲労で貯まった水に、そんな急激な方法をとる必要はない。
ガングリオンも膝の水も、治し方は同じである。
私の治療法は、徹底して物理的である。それを古典にしたがっていないという理由で良く思わない人たちもいるが、要は治ればよいのである。
それにしても外科の治療は荒いと思うことがある。膝蓋跳動テストもせずに水を抜かれて膝が曲がらなくなって治療に来た人や、手術後完全に片足が麻痺した人、ヘルニアの手術後、思うように歩けなくなった人を見ると、そう思う。
もっとも、芸術祭参加作品のような見事な手術に出会うことも稀ではない。私の娘の鼓膜再建をやってくれた医師は、名人であった。あまりに名人であったので、風邪が長引く原因になっていた私の扁桃もその先生に取ってもらった。
埋没型扁桃だったので、取りにくかったと思うが、3週間後には手術した後がまったく分からなくなってしまった。おかげで今年は風邪をひかなかった。
要は、腕次第という、当たり前の話しである。
あらら、ガングリオンから、話が飛んでしまった・・・・・
2010年4月7日水曜日
異なる症状、実は同じ原因。
少し前、まぶたの腫れで治療に来た人のことを書いたが、理屈はこれと同じである。まぶたの場合は眼科を受診するだろうし、鼻炎の人は耳鼻科を受診するだろう。もし、同じ人がこのふたつの症状を同時に持って、それぞれの専門科目を受診した場合、その人は、このふたつの症状をそれぞれ別の病気だと思うだろう。
しかし、違うのである。
このふたつの症状は、つまるところ、粘膜の血流不全に起因するという点では共通している。その血流不全を起こすのは上部頸椎周辺に出来た強度の筋肉のこわばり、つまり、凝りである。だから、針を使ってこの凝りをほぐすと、鼻づまりも、まぶたの腫れも、驚くほどに消えていくのだ。
症状が出る部位は異なっているが、原因は同じである。
しかし、こういう見方は、現代医学ではしない。物理的な発想から人体を考えるという視点が欠落しているからである。
もし仮に、まぶたの腫れと腰痛とアレルギー性鼻炎と膝の痛みで治療に来た人がいたとしても、私は、一度の治療でそれらすべてに対処できる。
2010年4月2日金曜日
まぶたの腫れと目やにの治療
次は、脳神経外科でCTスキャン。脳に異常はない。
異常がないのは幸いだが、目が治らないのだという。触診してみると、悪い方の左の首と肩の凝り肩がひどい。
これは、たぶん、凝りから来るものでしょう。
と言って、1時間ほど治療をした。治療途中、よく眠っていた。凝りがかなりとれたところで治療は終わり。
はい。終わりました。目はどうですか?
あれ、開くなあ・・・・・。まぶたが軽いな・・・・
この症状は、凝りが血管を圧迫して、まぶたの細い血管が腫脹していただけのものだった。こういう状態になると、感染も起こしやすくなるので、目やにも出る。
ただそれだけのことである。こういう場合は、凝りを取る治療を先にした方が時間的にも経済的にも効率がよい。
本当に、脳や心臓や他の臓器に病変があって、それが原因ならば、凝りを取ったところで症状は消えない。
針治療は、検査にもなるのだが、どうしても、後回しにされてしまう。
次は、うちに先に来た方がいいですよ、と、言っておいた。
次からそうしよう、という返事であった。
2010年3月31日水曜日
明け方の冷えは身体に堪える。
しかし、たいていの人は、明け方の冷えがこれらの症状の原因だとは気がついていない。
特に、マンションや、最近の高断熱の住宅に比べると、在来工法で作られた日本家屋は寒い。そのため、コタツに足を突っ込んで、背中を丸めてテレビを見るというような生活になりやすい。寒さは、若いうちはさほど身体に堪えないが、年を取るにつれて、悪影響を及ぼすようになる。
若い頃は楽しかったはずの庭木の手入れなども堪えるようになる。歳を取ると庭はないほうがよい。草取りで腰を痛める人のなんと多いことか・・・・
私も寒さには至って弱いので、戸建て住宅にはとうてい住めない。いまは、鉄筋コンクリートで作られたアパートに住んでいるが、たまに知人の家などに遊びに行くと、冬は寒くて仕方がない。
日本が大好きだったラフカディオ・ハーンも、日本の家屋の冬の寒さに対する備えの悪さには苦言を呈している。(当時はまだ残っていた、既婚婦人のお歯黒も、苦手だったようである。)
冷えに対してどのように備えるかで、老後の健康度に大きな違いが出てくる。
2010年3月27日土曜日
「補瀉迎随」(ほしゃげいずい)
それを行うのが「補法」である。「補瀉迎随」(ほしゃげいずい)という針治療の基本を知らないのか?
とお叱りを受けそうだ。知らないのではない。ただ、平均体温が、むかしの日本人に比べて1度前後も低下していると言われる現代の日本人に、中国の古典に書かれている通りに「補瀉迎随」の手技を施しても、書かれている通りの効果が現れるとは考えづらいのである。
実際、私の治療を受ける人たちは、経絡治療を一定期間受けている人が多い。そして、効果がなかったというのである。こういう人は、おおむね体温が低いのである。
私の針は、邪気を瀉するに徹している。そして、「正気」(せいき)を補う必要を感じたときは、信頼の置ける漢方薬局か、漢方薬を処方してくれるクリニックを紹介する。そのときは、症状その他を詳細に書いて渡すことにしている。
つまり、瀉法は、私自身が針で行い、補法は、漢方薬で行うという分業体制にしているのである。
どうしてこういう方法をとるかというと、ひとえに、治療コストを抑えるためと、治療日数の短縮化が、現代社会では求められているからである。
以前、30代の男性が耳鳴りを訴えて治療に来た。邪気を瀉すことは、針で行い、正気を補うことは漢方薬局に依頼した。この方法で、この人は3日後にはほぼ治り、1週間で完治し、以来、再発していない。この人には、夜釣りの趣味があったが、やめさせた。耳の周辺を冷やしてはならないからである。ただでさえ不眠になる。
もう若くはないよ・・・・
と言っておいた。
古典に書かれている通りの方法で、古典に書かれている通りの効果が期待できるほど、現代社会は甘くない。社会そのものが病んでいるのである。
年間3万人もの自殺者(そのほとんどは鬱死である)がいる国が健康であるはずがない。行方不明者、不審死、自殺未遂などを含めると、自殺を企図した人は、7~8万人に達するはずである。これらは、「正気」が失われた結果としての死である。精神病理学的には「鬱病死」である。
西洋医学にせよ、漢方医学にせよ、死んでいった人たちに何らの医療サービスも提供していないのである。こういう状況が10年以上続いている。
毎年大量の戦死者を出していた太平洋戦争の末期と変わらない死者の数である。B29による無差別爆撃と、2発の原爆による死者の数を別とすれば、であるが・・・・・
医療のニーズとサービスのギャップ
これらの患者は、いわゆる不定愁訴を訴えて、自分にとって一番気になる症状を改善してくれそうな医療機関に足を運ぶ。たとえば、頭痛であれば一般内科か脳神経外科、耳鳴りやめまいであれば耳鼻科である。
そうしてほとんど「異常なし」という診断を受けるのである。医療機関の処方としては、鎮痛剤や精神安定剤、入眠剤、あるいは、ステロイドの点滴やペインクリニックで行われる星状神経節ブロックなどである。こういう処置を受けてなおかつ改善しない人、というか、ほとんど何も変わらないような人が、たまたま人に尋ねて私の治療を受けに来ることがある。
最初は、こちらも対症療法的な治療をする。通常はそれで症状は改善するはずであるが、これらの人は、改善しても一時的か、あるいは大して変化しないのである。
こういうときは、「これは変だ・・・」という勘が働く。それからの仕事は、いわゆるライフイベントについて少しずつ聞き出すことである。ライフイベントというのは、出産・育児・教育・仕事・結婚・住宅・引越・医療・介護・葬儀などのことを言うが、年齢や性別に応じて、関係の深そうなことから少しずつ聞き出していく。
そうすると、近親者の死や、高齢者の介護や、子供との不仲、嫁と姑の確執など、さまざまなことが生活のストレスとして隠れていることが分かる。このストレスがときとして深い抑鬱状態を作り出していることがある。それを即座に鬱病と決めてしまってよいものかどうかは、私には分からないが、 もしも、これらの人々が心療内科を訪れれば、神経症、神経症的抑鬱、あるいは鬱病という診断を下されるだろうと思う。
もし現代のようなせわしなさのないゆったりとした時代ならば、こういう場合は毎日お灸をすえ続けるか、あるいは漢方薬などでじっくりと気力と体力が回復してくるのを待つことが出来ただろう。毎朝、朝日を拝んで柏手を打つことで少しずつ回復していくと言うこともあり得るだろう。
しかし現代社会には、そのようなゆとりはない。患者はすぐに治ることを望んでおり、治療には即効性が求められている。 こういう人たちは、いわば、水位の下がった湖のような状態になっていて、ボートに乗ってゆったり進もうとしても、水面に顔を出した岩などにぶつかってしまうのである。そのたびに、止まったり、傷ついたりする。それが要するに、これらの人たちが訴えている「症状」なのである。
だから問題は、水位を上げることにあるのであって、対症療法的に症状を消そうとすることで解決するものではない。水位を上げるということは、要するに気力と体力を上げるということだ。
現代医学では、心療内科や精神科で処方される抗うつ剤がその効果を持っているが、まだ、決定打となる薬は作られていない。かなり良い薬はあるが、効果は人によってさまざまだし、不眠や不安などの副作用もそれなりに強く、処方が適当でなければ返って危険な場合もある。
以前は、家庭に誰かひとりかふたりは、お灸を据えることの出来る人がいたが、いまは居ない。そんなことをする時間もない。
・・・要するに、何を書きたいかというと、現代社会に於ては、医療サービスと医療ニーズの間に大きなギャップが出来ていて、それが慢性的な疾患を抱える多くの人を治せない原因のひとつになっていると言うことだ。
そして、それらを治していた針や灸の技術の多くは、もはや社会から消えてしまっている。
2010年3月20日土曜日
さすがは凄い!! 現代医学!!
「慢性痛」解明へ一歩 ラットで人為的に発症、愛知医大 (2009.2.8)
九州大医学研究院の吉村恵教授(神経生理学)の話: 慢性痛は、神経損傷ではなく筋肉からくる痛みのケースが多い。実態に近いモデルは極めて珍しく、治療法や薬物開発に有効な研究成果だ。
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この記事を読んで、驚いた。針灸学では2000年以上も前から当たり前のように分かっていたことが、最新の研究になるのだそうだ。
さすがは凄い!! 現代医学!!
うちに毎日やってくる人たちは、みんな、現代医学に見放された治療難民なんだけど、研究が出来ていないんだから仕方ないんでしょうね。
おかげで、私は食いはぐれませんわ・・・・
感謝しなきゃ・・・・
深刻化し続ける老老介護
幸い近くに住んでる人なので、ご主人がデイケアに言っている間などに治療に来ることが出来る。この人など運がよい方である。近くに病院も治療院もないという僻地の寒村で介護をしている人たちも多い。
子供も、親兄弟も、遠くに住んでいるという。簡単に手伝いに来ることは出来ないらしい。
こちらに出来ることと言えば、丁寧に治療して、料金をいくらかでも安くしてあげることくらいである。それでも、いずれは行き詰まるときが来るかもしれない。
介護用品の紹介などもしてあげた。必要なら業者も紹介できるが、それは頼まれたときのことである。こちらから話を切り出すと商売をしていると思われることが多い。
出来る限りのことはしてあげるが、それ以上は出来ない。
これが先進国か・・・・、と情けなくなる。
緊張型頭痛は100パーセント治る。
脳そのものに原因がある偏頭痛の場合は、痛みは軽減するだけで消えはしない。軽減するというのは、要するに緊張型頭痛が発している痛みが取れると言うことである。
(偏頭痛+緊張型頭痛)-緊張型頭痛=偏頭痛
ということである。偏頭痛の治療には、血管収縮剤を使うしかないようである。
緊張型頭痛がきれいに治っても、肩と首の凝りが戻れば、また頭痛が始まる。そのときは、同じ治療をするしかないが、それはやむを得ない。
2010年3月17日水曜日
治療は商売ではない
年収ウン千万円!!
ホントかウソか知らないが、年収1億円にもなるところがあるそうな・・・・
・・・・ところで、そういう治療院は、本当に患者のこと考えて治しているのかと疑問に思う。
いくら儲けたかを吹聴するのは商売人の所行である。商売ならそれでよい。それが商売というものだからだ。
しかし、治療は商売ではない。
そういう基本的なモラルが、医療業界全般に欠如している。
ああ、医は算術と言われて久しいが、いまなお、いや、いまさらに、医は算術である。
嘆かわしい・・・・・・・
嘆かわしい・・・・・・・
ああ、恥知らずどもの嘆かわしさよ・・・・・・・・・・・
太宰治が嘆いた「人間失格」の主人公の顔は、いままさに、日本の顔になっている。
嘆かわしい・・・・・・・・
そうして良貨が悪貨に駆逐されるように、良医は悪医に埋もれていく・・・・
痛みの風船?
人の身体には、痛みの風船がいくつも付いている。その風船がパ~ンと破裂すると、
痛ぁ~あ~い
ということになる。たとえとしてはこんなものだろう。もっとも、これは私が針を刺したときの痛みをたとえたもので、怪我や腹痛や頭痛などは念頭に置いていない。出産の痛みなどもこういうたとえは当てはまらない。たとえば、ぎっくり腰などが、こういうたとえが当てはまりそうな痛みである。
いきなり、パ~ンと破裂する。
これと同じことが、針治療でも起きる。針で硬くなった凝りの表面を突くと、時には、
フンギャ~
というくらいに傷む。針が凝りを通ると、もう一度、
フンギャ~ス
というくらいに痛む。ところが、これでもう痛みの風船は破裂したのだから、少なくとももう当分は、急なぎっくり腰の痛みに襲われることはないのだ。帰るときには、
あれ? あの痛みはどこに行った????
と怪訝そうな顔をして,前屈したり後屈したり、腰をひねったりする。
痛みはないですか? と、聴くと、
もう大丈夫みたいですねぇ・・・・・
などと言う。この痛みの風船は、最初は小さなものだったのだ。それがだんだん大きくなって、何かの弾みにバンと破裂するのだ。西洋では「魔女の一撃」というが、まさにそのような痛みである。
仕事中などにそんな痛みに襲われたのでは叶わない。出張先や旅行先ならなおさらである。
それよりは、治療院のベッドの上の方が安心である。そうしてちょっと痛い思いをしてもらった後、治療に来るタイミングについて教えておく。
要するに、痛みの風船が破裂する寸前に来るのが一番痛いわけで、ちょっとふくらみかけたときに小さく破裂させておけば、さほど痛まないのである。このことを心得ている人は、自分にあった一定の間隔を置いて治療に来るようになる。
情報化社会と医療統合
さいわい、私は主に働き盛りの人の急な痛みの治療を得意にしているし、10年も前からホームページを作っているので、中年層と新規の顧客に恵まれている。ただし、高齢者だけを見ると、半減している。これは、80歳を過ぎた人が主にデイケアに行く機会が増えたことにも原因がある。デイケアの場合は、送迎の車が来てくれるが、治療院だと、自分で来るか、家族に送迎を頼まねばならない。これは、お年寄りにとっては,気の重いことなのだ。だからついつい遠慮してしまう。
高齢者が主な客層であった治療院は全国的に見ても、冷え込んでいるはずだ。そういう事情もあって、この業界は不景気業種のひとつに数えられているらしい。
しかし、技量の差はあるにしても、やっている仕事というのは、病院の外来では治らなかった人たちの治療がかなりの割合を占めている。そして実際、かなり長期間患っていた症状であっても、時には完治するし、少なくとも軽快はするのである。が、その仕事の質に比べれば、この業種の人たちの社会的地位というものは低い。
100年以上も前のことになるが、明治政府が、西洋医学と漢方医学のいずれを国の基幹医療とするかという問題を議論したことがある。僅差(4対6くらいの割合)で、西洋医学派が勝った。その僅差が、今日の大きな社会的地位の相違となって現れている。
いずれを是とするかの二者択一ではなくて、両方を併存させれば良かったのである。この点、中国の方が、医療に関しては、世界をリードしていくようになる可能性が高い。
実際、漢方薬は効くし、針や灸も効くのである。その他の代替療法も取り入れやすい。少なくとも日本ほど閉鎖的ではないだろう。
統合医療というものについて考えると、政府は言っているが、果たしてどうなるだろうか? 私はあまり期待してはいないが、悲観的でもない。というのは、情報化社会に於ては、政策などとは関係なしに、自分で情報を仕入れて、自分で医療を統合できるからである。
情報化社会においては、医療の統合は、各人が自分でやれるし、その情報を集めて、データベースを作ることも出来る。私はすでにそうしている。
未来の医療は、政策によって統合されるのではなく、「情報」によって統合されていくだろう。特別なことは何もしなくても、自ずとそういう時代がやってくるはずである。ただし、その情報が信頼の置けるものになるようなシステムの構築は必要だろう。それは、力を入れて研究しなければならない。
特許切れの薬が新薬として発売されるような国の医療機関、医療制度は、情報の力の前には、はなはだ弱いだろうと思うが、情報化という手段を巧みに取り入れれば、様相は変わるだろう。
2010年3月14日日曜日
我が子の対面をつぶす親
しかし、もういっぱしの社会人になった子供の予約をする親というのは、どうかと思う。子供が社会人になったら、子供としてではなく、社会人として社会的応対がきちんとできるかどうかを見るのが親の役目だ。
しかし、ときに30代、40代、ときには50を過ぎた子供(いや、もう立派な大人なのだが)の予約をする母親がいる。子離れできないのであろうが、子供(いや、大人なのだが)も、自分で電話すればいいのである。親が予約の電話をかけるといったら、「恥ずかしいから自分でかける」というくらいの、当たり前の意識は持っていてほしいものだ。
我が子の社会的対面をつぶしてどうするのであろうか?
こちらは、
いい歳をして何を考えているのか!!
四十ヅラさげて親に電話なんかしてもらうなよ!!
という目でしかその人見ない。親離れ、子離れが出来ないというのは、社会的対面という点から見れば、実にみっともない。
心療内科ならぬ「針療内科」
こういう症状にも、針は非常に良く効く。心療内科ならぬ「針療内科」というものも、作れば出来そうである。中国では、実際にやっているだろう。漢方薬と組み合わせれば、実に効果的だ。中国の「中医」がやっているのと同じである。
とくに不定愁訴や慢性疾患には、効果的である。
なぜ日本は西洋医学一辺倒なのだろう? だが、西洋医学といっても奥が深い。カイロプラクティックやオステオパシーなどのような、西洋の整体術などは、漢方の知識も取り入れて、実に効果的な治療を行っている。
日本で盛んなのは、外科的処置と薬物療法であって、それは、西洋医学の一部でしかない。
それを主流にするのは構わない。しかし、それだけに頼ると、それでは治らない人が治療難民になってしまう。
生活の疲労に起因する症状など、なにも病院で扱う必要はない。そういうものまで抱え込むまなくても、病人は山ほどいる。医師が過労死するくらいの病人がいるのだから、なにも、生活疲労まで面倒見る必要はないだろうと思う。
パラメディカルを充実させないと、医師も患者も一緒に沈没しかねない状況になっているように思うのは、私だけだろうか??
2010年3月10日水曜日
鍼師は金属の基本的な性質を知るべきだ。
なにも、専門的に学ぶ必要があると言っているわけではないが、針治療に必要な知識、つまり、針の製造方法や、金属の基本的な性質などは、知っていた方がよいし、曲がった針の表面がどのようになっているかくらいは、顕微鏡で見て知っておいた方がよい。
金属は、結晶構造を持っているが、そのことを、どれくらいの鍼師が知っているだろうか? 曲がった針の表面が、格子状に滑っていることをどれくらいの治療家が知っているであろうか?
厚生労働省は、針灸学校の1年生の時に、針の製造方法と金属の基本的な性質くらいはカリキュラムに組み込んでおくべきだと思う。あるいは、針の製造元の社員さんを講師に招いて、臨時講習を開けばいいと思う。
いたずらに事故を恐れるのではなく、事故を起こさない治療技術を身につけることと、そのバックボーンになる基礎理論を知っておくことが大切なのである。
私は、ずいぶん深い針をするが、針が折れるという心配をしたことがない。というのは、針に余分な力を加えないからである。周辺の硬い組織を和らげながら針を進めていくので、針が折れるような力は加わらないのである。そういう運針(針運び)をする。
そういう運針術の背後には、金属の基本的な性質についての知識がある。いまはインターネットで必要な情報を即座に手に入れることができる時代である。
金属疲労・ステンレス・応力集中・カシメ のような言葉で、検索して調べてみると良いと思う。
どのような職業であれ、職人は、まず、道具について知るべきだのだ・・・・
2010年3月9日火曜日
大吟醸ならぬ大銀醸の話しです。
私も、最初はにおい消しに使っていました。
でも、最近、ペットボトルに入れた水にコケが生えないように、チタンと銀のペレットを入れておいたのです。
それを飲んでいましたら、何となく、体調がいいのです。銀イオンが、効いているような感じがしています。
身体に害はないとされています。私もそう感じています。
におい消しによし、飲んでよし、野菜に振りかけてよし、何にでも使えます。
実によい商品です。別に宣伝賞はもらっていませんが、良いものはよいのだから、書いておきます。
交通事故で胸骨が縦に割れた人
1300ccの小型車だったそうだが、その程度の大きさの車でも、市街地走行には、十分な安全性をもっているものだと感心した。
その人は、骨折が治って退院した後、あちこちが痛くて治療に来たのだが、勤務先がなんと病院だった。だから、リハビリは、自分が勤務している病院で行っていたのである。
しかし、電気治療などで治るような状態ではなかった。事故の衝撃でダメージを受けた筋肉は、硬く固まって、針先がガチガチと石にぶつかるような状態になる。正常な状態の筋肉がソーセージのようなものだとしたら、硬結した筋肉は、硬いサラミソーセージくらいにはなっている。いや、時には、家の柱よりも硬くなっている。いや、本当に、石のようになっている。私はこれを
凍結筋(フローズン・マッスル)
と呼んでおり、それに起因する種々の症状を、
凍結筋症候群(フローズン・マッスル・シンドローム)
と呼んでいる。それは、不眠・頭痛・吐き気・頑固な咳・背中の張り・腰痛・ぎっくり腰・膝の痛み・各種の消化器疾患など、実に多様な疾患を含む。その特徴は、現代医学の検査では異常が見つからないところにある。
筋肉がそこまで硬くなると、針を曲げずに通すのが大変なのだ。そういう運針(針運び)の技術は、鍼師にとって必要不可欠なものなのだが、最近の若い鍼師は、その技術を持っていない。経絡治療家にもその技術はない。
そこまで針を送らないのだから、そういう凝りがあるということを知りもしない。ついでにレントゲンにも映らないので、医師にもそのような筋肉の異常は、分からない。診断がレントゲンから始まるというのは、現代の整形外科医療の大きな問題点である。
忘れられた筋肉、とでも言おうか、とにかく、筋肉を見ないのが現代の医療の負の特徴である。
この人は、10回くらい治療に来た。それで、ともかく、痛みのない生活を送れるようになった。仕事も支障なく続けている。
五十肩と局所ジストニア
両方とも五十肩であることに違いはないので、五十肩のⅠ型とⅡ型というふうに分けてもよいだろう。Ⅰ型が治せる方、Ⅱ型が治せない方。五十肩のⅡ型は、ホントに何をしても治らない。これは、おそらく、ローカルホスト・ジストニアだろうと思う。
おもしろいのは、時期が来ればケロリと治ることである。脳が「あ、まだ肩は上に上げるんだな」ということを理解するのかもしれない。
割合的には、Ⅰ型が8割、Ⅱ型が2割といったところだが、混合型も少なからずある。典型的なⅠ型なら、私は、一回か二回の治療で治せるが、典型的なⅡ型は、
何をしても時期が来るまでは治りません。
と引導を渡すしかない。中枢からの命令は絶対的であって、末梢をいじってもどうにもならないのだ。せいぜい、痛み止めを使って、仕事ができるように、あるいは、睡眠時間を確保できるようにするしかない。
この症状が首に出ると痙性斜頸になるのだと思う。これもじつにやっかいで、簡単には治らない。
インターネットは、便利な道具で、こういう難治性の症状の治療を得意にしている治療院を探すこともできるが、全国的にみれも、稀である。運良く近くにあればいいが、遠いと通うのが難しい。
五十肩のⅠ型を長期間放っておくと、Ⅱ型やⅡ型との混合型にに移行することが多い。その意味でも早期の治療が必要なのだが、だいたいは、数ヶ月以上立ってから治療に来る人が多い。
耳鳴りやめまいと同様、これも残念な思いをすることが多い疾患である。
2010年3月7日日曜日
止めの灸
15歳の頃、膝を痛めて、近くのK先生に針をしてもらった。浅からず深からずの針であったと記憶している。
数回の治療が終わる最後の時、
ちょっと足に灸をすえるからな。これは止めの灸というて、これをやっておけば
もう一生、足はわるくなりはせんからな・・・・。
ちょっと熱いが我慢せんといかんで・・・・。
こういわれて足の裏にいくつか灸を据えられたのだが、そのときの暑さは、40年以上たったいまでも憶えている。米粒の半分くらいの灸なのだが、足の裏の灸は、本当に熱い。もっと熱いのは、足の爪の脇にすえる灸である。
私のお客さんに、そこに灸を据えられた人がいる。慢性腎炎を治すツボである。
熱かった~・・・熱かった~・・・熱かった~・・・
と何度も言っていたが、
おかげであれから腎臓は悪くならない。
と言っていた。
マッカーサーGHQが、これは拷問の道具だ!!
と言ったというのも頷けるほどの熱さなのだ。
あれから40年以上たったが、膝が悪くなったことは無い。
@針は痛くありません。灸は熱くありません。@
そんな宣伝文句を私は信用しない。
2010年3月6日土曜日
アルコールと家庭内暴力
いろいろな問題の中でも、かなり深刻なのが、家庭内暴力である。これは、本人が自ら精神科にでも治療に行けば解決する問題だろうが、そういうことはあり得ない。暴力を受ける家族が、精神を病んでしまうことはいくらでもあるが。
ある人は、夫が毎晩3時間以上も、酒を飲んでは自分を罵倒することで、とうとう統合失調症を発症してしまった。薬物療法で、一時は寛解したのだが、ご主人の罵倒が原因で再発し、離婚して精神病院に入院してしまった。
その病院の院長の応対を母親から聞いて、いささか不安になった。治療する前から
これは治らん!!
と言ったというのだ。「馬鹿か・・・」と思った。他の病院(そこは運悪くベッドが満床で入院できなかった)では、服薬しながらであれば、普通に暮らせるようになりますと、言われていたのに・・・・
それから8ヶ月ほどの間、母親(もう八十歳をこえている)が治療に来るたびに様子を効いていたが、徐々に寛解していって、いまは、普通に会話もできるという。主治医は、「8割なおりましたね。あと2割です」といっているという。
良い医師に診てもらっているのだと思う。「これは治らん!!」と言った院長が治療していたら、本当に治らないだろうと思う。というより、薬物療法の技術が、ないから治せないのだろう。「治らん!!」ではなくて、「私には治せん!!」のだろう。
家族で花見ができたらいいですね。
と言った。父親は85歳、母親は82歳である。人生の終わり近くになって、楽しいひとときを過ごせれば、それはうれしいことだろう。我が子の先行きを心配しながらの老後の生活など、よいものであるはずがない。
桜前線が近づいてきたら、家族での花見を話題にしようと思う。
2010年3月5日金曜日
針治療は痛いか?痛くないか?
私は、こういう宣伝文句を信じない。なるべく痛くないようにはするが、痛いときは痛いのである。
それに、痛みの感覚は、正常な人で1000倍くらい違うのだ。
ある人は、刺すたびに痛いという。ある人は、針をしてもらっている間、ずうっと気持ちがいいという。
そのときは痛くないが、翌日痛む人がいる。そのときは痛いが、治療が終わって服を着ている間に痛みが消えて、翌日も何ともないという人がいる。
十人十色、百人百様なのだ。
本当に、誰にとっても痛くない針をするなら、接触針にすればよい。接触針というのは、針の先を皮膚に乗せるだけで、刺すことはしない。あるいは、刺さない針(主に小児用に使われる)を使えばよい。
しかし、たとえば、ぎっくり腰を一回の治療で治そうとしたら、皮下数センチにまで針先を送らなければならない。いわゆる神経根治療が必要になるのだ。
これは、神経を取り巻いて硬くなっている筋肉を針を使って和らげる治療法で、実に奏功する。自分で車を運転して来た人、あるいは、自転車や徒歩で来た人なら、帰りは
ルンルン気分
なのだ。なぜかって、すぐにも仕事に戻れるから。
今の時代は時間も財布の具合も昔とは違って厳しいのである。悠長な治療はしていられない。一発即効的な治療が求められているのである。
治療を数回に分けて痛くないように治しましょうか? それともちょっと痛いけど、一回で治しましょうか? というと、全員が、
一回で治してくれ!! とにかく早く治してくれ!!
という。自然治癒力を利用しながらゆっくり治せばいいと言う時代ではない。
いずれまたそういう時代が来るかもしれないが、それは、まだ10年以上先のことだろう。
2010年3月4日木曜日
むち打ち症に抗うつ剤を投与する整形外科医は何を考えているのだろう?
何の薬をもらったの?
と聞くとトレドミンだという。
それって、SNRIって言われる抗うつ薬だよ。
というと、文献によると効いた例が一例報告されているから、使ってみようということになったらしい。
一例の報告で使ってみるというのは、いささか呆れる話である。患者は実験台ではない。テストをしてはいけないのだ。
それでどうなったのかと聞くと、縦に横に斜めにめまいがして、もう、立ち上がることもできなくなったという。
ヤブ医者以下のタケノコ医者である。
保険会社は、その誤投与の分まで保険料を支払わねばならないだろう。とんだとばっちりだ。
その人のめまいは、針治療三回で消えた。針治療には、そういう即効性がある。
私の治療院にめまいの治療に来た人で、帰るときにもまだめまいがするといった人は、まだいない。
吐き気や、咳に関しても同様である。
針の鎮静力というのは、それほどに強いものなのだ。しかし、それを発揮できない鍼師が多いのも事実である。
なぜ、鍼がこれほどまでに効くのか、国は、医療費軽減の意味も兼ねて、こんご積極的に検討すべきであろう。
針治療は、国の保険負担を大幅に減らせる可能性があるのだ。
日本も、針医・漢方医など、中国の「中医」にあたる医療的立場を作るべきである。
薬剤師に、もっと大きな権限を与えて(いまの医薬分業は、形だけ。根っこはくっつているでしょう!)、サプリメントなども積極的に取り入れて、低コストで、効率的な医療体系を考えるべきなのだ。
って言っても、誰も取り合ってはくれないだろうけどね(笑)
私の治療方法自体が、地元鍼灸師会から異端視されているんだから、お話のほかです。
針は、浅くても効くんだそうだ。刺さなくても効くという人もいる。じゃあ、針管使わなくてもいいんじゃないの?
5ミリくらい刺すだけの針なら、針管はいらないでしょ!!
いっそのこと、気功針でも始めたらいかが? 針を以て気功をするの!!
効くかもね。効いたら爆笑ものだけど。ホント、「病は気から」って言うことの証明にはなるわいな。
ついでに書くけど、「元気が出る薬」と言うことでデプロメールを処方した内科医がいる。初期の副作用を知ってるのかね? この内科医は。
それで、
病院に行ったあと具合が悪い・・・
って言われても、針師は困るって言うの!!!!
その人には、吐き気止めの針をしましたけどね。
デプロメールの副作用一覧をプリントアウトして渡しましたよ。何でこんな薬を飲まなきゃいけないのか、そのお医者さんに聞いてみなさいっていいましたよ。
鬱病でも慢性疼痛症でも繊維筋痛症でもない人に抗うつ剤出すなっていうの!!
製薬メーカーの営業マンは、内科医や整形外科医にかんたんに抗うつ剤を売るなっていうの!!
日本では、医師が医療を独占する形になっているけど、それで過労死する人が出るほど多忙になっているんだから、自分で自分の首を絞めているようなものだといわれても仕方ないでしょうね。
私の言っていることが、おかしいかい? 変かい????
2010年3月3日水曜日
袖振れ合うも多生の縁
ああ、そうですか・・・。そうでしょうね・・・
などと言いながら50分ほど治療をしました。先ほど電話がありまして、「ずいぶん調子が良くなりました」と言っていました。
ああ、そうですか・・・。そうでしょうね・・・
と言っておきました。
このご婦人は、将来、「人工関節にするしかありません」なんてことを言われることはないでしょう・・・・。病名は「老人性膝関節症」だということでした。
まあ、あまたが痛いから「頭痛」、腹が痛いから「腹痛」というような漢字でネーミングすれば、年を取って膝が痛いというと「老人性膝関節症」ということになるんでしょうね。
地域通貨で著名なMさんと、人間を犠牲にした上に成り立っている経済って、ひどいものですね、ということを話しました。
そのMさんは50肩を患っていましたので、やはり治療をしました。医者に行ったかどうかたずねると、とりあえず行ってみたと・・・。結果、手術を薦められたそうです。
アホな・・・・
そんなもの、こうやって、こうやって、こうやれば治るんじゃ、というような程度の治療もしてもらえずに、20年も30年もたってしまってどうしようもなくなったという人が、日本中にはいったいどれくらい居ることやらと思います。たぶん、2000~3000万人は居るでしょう。
本当にひどい世の中だと思います。ますますひどくなる一方でしょう。私は、ささやかな抵抗をするわけでもなく、ただ、できたご縁を大事にするだけです。
袖振れ合うも多生の縁・・・・・
2010年3月1日月曜日
めまいや耳鳴りが針で治ることを知っているひとはほとんどいない。
それで、耳鼻科や脳神経外科などであれこれ検査を受けたり、薬を飲んだりしているうちに、すっかり症状が固定してしまうことが多い。そうなると、多少の改善程度しか望めなくなる。
もし、症状が出て一週間くらいの間に来てくれれば、数回の治療で大幅に改善する。現在もそういう治療をしている人がいるが、来るたびに良くなっている。
漢方薬を併用するといっそう効果的であるので、ちかくのクリニックを紹介することも多い。
早く来てくれれば、ほぼ確実に治せる自信はある。しかし、治療に来る人たちのほとんどすべては、病院で数ヶ月以上も治療して、結果が良くないので、藁をもすがる思いで来るのである。
そこから治すのは、いささか困難である。治るにしても、治療回数が大幅に増える。
耳鳴りやめまいに関しては、いつも残念な思いばかりをしている。
2010年2月25日木曜日
女性の股関節や大胸筋は治療してもらえない・・・・
股関節の痛みで苦しんでいる女性は相当に多い。妊娠・出産・育児に加えて家事全般を請け負い、おまけに仕事までしているのだから、疲労で痛み出して当たり前である。学生時代のスポーツの後遺症の場合もある。
しかし、おおむね、医師・整体師・鍼灸師・指圧・マッサージ師は、こういう部位に触れたがらない。わいせつ行為と思われるのが嫌なのだろう。
私は、平気で治療する。そうしていままでどのような治療を受けてきたのかを聴く。答えは皆おなじである。
どこに行っても、そこは治療してもらえませんでした。
鍼師が股関節に針をするとなれば、必要な部位まで、衣類をおろしてもらわねばならない。しかし、10年、15年と痛みに苦しんできた人は、ようやくそこを治療してくれる人に出会ったと思うらしい。決して変なふうには受け取らない。治療そのものは、至って簡単である場合が多い。せいぜい数回~10回もあれば改善する。
中には股関節を手術した後の痛みや不自由さを訴える人もいる。ある50代の女性は、医師には歩かないようにと注意されていたらしいが、針で治療をし、少しずつ歩いてもらって筋力を強化した。それで、ほとんど何の不自由もない生活ができるようになった。
その後も、年に一回はレントゲンで検査しているが、股関節の所見には悪化の兆候は現れていない。筋肉でガードしたのである。そのためには、股関節の痛みの原因になっていた筋肉の拘縮を取り除く必要があった。それは針でやるしかない。指圧やマッサージでほぐれるようなヤワな凝りではなかったのである。
ダンサーやバレリーナの故障の治療となると、ほとんど内転筋をいためているので、治療の部位もかなりきわどいところになる。ふともも内側の付け根なのである。
しかし、そういう人は、故障を治さないと舞台に上がれないのであるから、恥ずかしいなどということは言っていられないのだ。
どこに行っても治療してもらえないという人が、日本中に何万人いることであろうか? 腕に自信がないから、余計な心配をするのである。
大胸筋も同様である。女性は、大胸筋の治療をしてもらえない。しかし、この部位に関しては男よりも痛めているのが普通である。
こういうときは、「鍼灸師が最初に習うツボがここにありましてね・・・」と言いながら、そのツボを強めに押す。すると「痛あ~~」という声が出る。「2番目のツボはここです・・・」と言って、やはり強めに押すと「痛あ~~」という。
そこに浅めの針を肋骨の上に刺す。決して肋骨の間には刺さない。これが気胸防止の一番確実な方法である。そうすると、「あ~、息が楽にできる・・・。そんなところが凝っていたんですか?」などと言う。
そんなとこ、さわらないでください。
なんてことを言った人は一人もいない。
いままで誰もそこを治療してくれなかった・・・・・
と言った人は、数知れないが・・・・・
2010年2月24日水曜日
針治療は、検査にもなる。
しかし、まず、頭痛を消すツボで、痛みが消えるかどうか試してみればいいのだ。脳に異常があるのなら、針など効きはしない。針で頭痛が消えたのなら、それは肩や首の凝り(筋肉の過剰な緊張状態)に由来するものだから、脳を心配することはない。
むろん、定期検診は必要だろう。無症状のまま重大な病気が進行していることもあるからだ。しかし、それは、年に1回で十分だろう。
そういうルートで治療にきた人には、そういう説明をする。つまり、針治療は、検査にもなるのだ。
痛みやしびれから、「どこか悪いんじゃなかろうか?」と、内臓の病気を心配する人もいるが、そういう人には、
凝りをとって痛みが消えるのなら、内臓を心配することはありま
せん。針治療をしたあと3日しても症状が消えないのなら、近くの
病院で診てもらうのもいいでしょうけど・・・・
と言うことにしている。逆に、こちらから積極的に検査を勧める場合もある。肋間神経痛のような胸痛を訴える人の場合がそうである。心筋梗塞の前触れである ことがあるからだ。10年で、5人、そういう人がいた。そのうち、3人は、検査でも異常が出なかった。心筋梗塞を起こしていることがわかったのは、発作を 起こして救急車で運ばれてからである。ここでも、骨折と同じで「検査漏れ」が起きているのだ。
病院で検査してもらいましたか?
心電図に異常はないと言われたが・・・
たぶん、肋間神経痛でしょう。
そうして治療を何度か続けているうちに、心臓発作を起こした人が3人いる。3人とも、バルーン療法できれいに治った。その後、針治療にはきていない。
2010年2月22日月曜日
両股関節と左膝が人工関節の86歳女性
それで、家庭でマッサージをしてもらうように伝えた。リンパ液を流してやればよいのである。難しくはない。
それにしても、病院の手術と、それに比べれば手薄なリハビリのギャップはあまりに大きい。
以前、右膝を人工関節に変えた後、歩けなくなったという人が来た。やはり80歳過ぎの女性である。原因は、骨盤付近の凝りだったので、鍼で治した。4回の治療で、スイスイ歩けだした。
手術そのものは成功していたのであるから、リハビリの不首尾が、名医の手術を隠してしまっていたことになる。
長年の経験で、手術の上手下手は、だいたいわかるようになった。結局、職人的な腕を持っている人がうまいのである。
しかし、手術しなくても、針で治せる場合が相当数ある。私は、8割は治せる。膝にたまった水は、数回の治療でなくなる。しかし、膝を治療できる鍼師はほとんど居ない。
私も20年もすれば引退である。その間に縁のあったわずかな人を治療できるだけである。
リハビリの技術を底上げしないと、名医の手術も人を助けられなくなる。
2010年2月19日金曜日
2010年2月16日火曜日
困った付き添い・・・
仕事がやりづらい。待合室で待っていてください、といっても、何か理由をつけてじっと見ている。
こういうときは、患者も損をする。さっさと治療を終えてしまうからだ。サービス的なことは一切しない。必要な処置を終えたら、「ハイ。今日はこれで終わりです。」
もう来なくてもいいと思う。
そういうのは、付き添いとは言わない。ただの迷惑である。
2010年2月13日土曜日
治療と介護のはざまにいるお年寄りたち。
こういう人は、すでに介護の段階に入りつつある。こちらには、介護の技術はない。下手に抱き起こすのは危険なのである。肋骨など、簡単に折れてしまうから。
それで、この人にはたいへん気の毒だったのだけれども、治療をお断りして、デイケアを併設している鍼灸院を紹介した。
ところが、介護認定を受けていないというのである。それでは、サービスが受けられない。まず介護認定を受けないといけないのだが、そういうことに関する知識がまったくないのである。
お年寄り本人が何も知らないというのは、時折あるが、子供たちは何をしているのだろうかと思う。子供にとって、母親は不死身の存在である場合が多い。いつまでも元気でいてくれるものと思い込んでいるのである。
しかし、客観的に見ると、転んで骨折でもしたら、もう寝たきり、という状態なのである。このご婦人は、こういう状態にもかかわらず、自転車に乗っているという。
転んだら、寝たきりになるだろうと思う。
2010年2月8日月曜日
レントゲンの見落としと、針では治らない場合。
数日前治療にきた男性患者のことだけど、この人、ふたつの整形外科病院でレントゲン検査、MRI検査をしてもらって、軽いヘルニアでしょうから、しばらく安静にしていれば治るでしょうと言われたという。
こういう人はかなり治療しているので、軽い気持ちで引き受けたのだが、2回治療しても症状が消えない。杖がないと歩けないのだ。「これはおかしい、こんなはずはない」と思って、もう一度、股関節を検査してもらうように伝えて帰ったもらった。
それから3日ほどして、心配になってこちらから電話をかけたら、なんと「大腿骨が骨折していました」という。たぶん、疲労骨折なのだろうが、病的骨折の恐れもなくはないので、ベッドが空き次第入院することになったという。それまでは、自宅待機・・・
参った・・・。こちらは、一応、医師の診断を正しいものとして自分の治療をするのだが、画像診断のミスというのは、思ったより多い。ある医師が何枚もレントゲンを撮って異常なしといった人が、別の病院では、1枚のレントゲンで、「あ~、肋骨が3本折れてますね」と言われたケースもある。
こういうときは、鍼師としても困る。
おかしい、鍼が効かない、・・・・ひょっとしてレントゲンの見間違いかな? と疑って、別の整形外科で再検査を勧めると、骨折していることがわかったという例は、時々ある。
もっと困るのは、というか、いくら何でもそれはないでしょう!!というのが、手のしびれを治すのに首の手術をしなければならないと言われた人の場合である。こういう人の治療は、もう、10人以上やっているが、首の手術をせずにみな治った。少なくともしびれは消えた。
原因は、だいたいは、肘にあることが多い。触診すれば、「これ、首じゃないですよ。肘が原因ですよ」という触診所見が容易に見つかる場合が多いのである。
もっとも、造影検査をして脊柱管狭窄が見つかった場合などは、「それは針では治りませんよ。症状の緩和はできますが、狭くなった脊柱管を広げることはできませんから・・・」というしかない。
針治療と治療事故
針治療による死亡事故がたぶん20年ぶりに起こった。整骨院にアルバイトとして勤めていた学生(当然、免許取得前)が起こした事故らしいが、治療を受けた54歳の女性は、亡くなったようだ。原因は、針による両側性気胸らしい。現在、大阪府警が事情聴取をしているようだ。気胸という事故は、実は珍しくないのであるが、死亡事故というのは、滅多にない。
20年前に起きた死亡事故も、無資格者が起こしたものだった。胸郭周辺の針治療はすごく神経を使うものだが、どういう刺し方をすれば安全なのかを、学校でも職場でも教わることはない。せいぜい、「深く刺さないこと」というのが、気胸を起こさない方法として伝えられている程度だ。
針の効果というものは恐ろしいもので、堕胎のツボもあれば、不妊治療のツボもある。私は、不妊治療で4人成功したが、5人目の人が流産したところで、やめてしまった。ゾーミックやイミグランのお世話にならないといけないような強烈な頭痛を治めるツボもあるし、気管支拡張剤やステロイドが効かない喘息を止めるツボもある。ところが、これらのツボは、深いところにあることが多い。だから、ハイリスクなのだが、危険があるからやらないというのでは治療にならない。
ようするに、リスクコントロールがどれくらいできるかの問題である。そのリスクコントロールを学校で教えるかというと、鍼灸学校では、教えていない。
安全性と治療効果という問題は、治療家の生涯のテーマであるように思う。
針が折れる事故がネット上で2例見つかったが、ともに首に針が残っているのがレントゲンで確認されている。そのうち一例は手術で針をとるらしいが、しばらく経過観察をするのが妥当だろうと思う。針がそこにとどまっているより、手術の危険の方が大きいからである。
むかしは、捨て針とか、埋没針とか言って、わざと針を体に残す技術があった。いまでも、針が体に刺さったままという人(かなり高齢)がまれに治療に来る。こういう治療法が消えていったのは、外科領域から、手術の時に困るからやめてくれと言う要請が、鍼灸師会にあったからだと思う。
痛みもなく、かつ、そこから動く様子もなければ、無理に取り除く必要はないと思う。どうしても除去しなければならなくなったら、それは手術しなければならないだろうが・・・・